第5章 新たな家族

 杉野家に到着した麻美とチャッピー。
 玄関に入るなり、廊下を掃除していた母と鉢合わせになった。
 母はチャッピーを見るな否や、
「ハムスターって、こんなに小さくてかわいかったっけ?」
 との一言。どうやら母もこのような種類がある事を知らなかったようだ。
 会社から帰ってき父も同じせりふを口にした。2人ともジャンガリアンハムスターの魅力に惹かれ
てしまったようだ。
 幸い父もこのくらい小さい動物なら怖くないということで麻美もほっとした。もちろんチャッピーに
とってもこの家を大手(おおで)を振っている事ができるのであった。
「よかったね。お父さんからもかわいがられて」
 麻美はチャッピーを手に乗せながら、
「本当に安心したよ。これもボクの美貌の賜物だね!」
「……そうかしら」
 麻美の目は遠くを眺めていた。
夕方、麻美は近所にあるホームセンターに行き、小遣いを全部はたいてハムスター用のかご一
式とひまわりの種一袋を購入してきた。
夕飯後にビニールから小屋を取り出して、付属品一式と餌と水を入れて部屋の片隅に設置した。
「これが今日から君の家だよ」
と言いながらチャッピーをかごに入れた。
「まあそこそこって感じだね。マミちゃんの経済力とこの家の広さと人口(ハム口?)密度を加味し
ても妥当の範囲内かな?」
「どこで一体そんな言葉を覚えたのか……。まあ気に入ったみたいだね」
 と言っているうちにチャッピーは早速回転車で楽しそうに運動を始めた。麻美の目には懸命に
車を回しているチャッピーの姿が愛らしくかつコミカルに見えた
 夕飯と風呂が済みひと段落した麻美は、チャッピーをかごから出し、手のひらに乗せた。
よく見るとチャッピーもひまわりの種を食べていたらしく、両方の頬(ほほ)が膨れていた。
「これっておいしいの?」
「僕にとっては生まれた直後から食べ慣れているからね。これにはハムスターに必要な栄養素
が入っているからこれだけでも十分なんだ」
「そうなんだ。言ってみればハムスター版のカロリーメイトみたいなものだね」
「そう言えばそうかも。けどこのひまわりの種はマミちゃんのような人間が食べてもいいんだ」
「へーっ!初めて聞いた」
 麻美はひまわりの種が食べられると聞いて驚いた。
「〔神仲間〕の友達から聞いたのだけど、実際アメリカや中国では栄養が豊富なので、ダイエット
食品や健康食品として販売されているんだって」
「ひまわりの種ってすごいんだ。こんな小さい種の中にに栄養がいっぱい詰まっているんだ!」
「それとビールのつまみにも合うって。……けどマミちゃんはまだ中学生だからビールは飲んじ
ゃだめだよ」
「わかってるって!」
 どうやらチャッピーのほうが一枚上手だったようだ。けど今度自分でもひまわりの種を食べてみよ
うかと決意した麻美であった。
 チャッピーが我が家に来てから、麻美の生活が少しずつ楽しくなってきた。
 昨日までは風呂入れば寝るまでTV見てたり漫画読んでたりと平凡の毎日だった。
 しかし今日からは違う。チャッピーという最高の仲間が側にいてくれるから……。
【続く】
参考サイト:ナッツSUNどっとこむ  http://www.nutssun.com/
※ 作品中に登場した「カロリーメイト」は、椛蜥ヒ製薬の登録商標です。