美しき日本男児

ここ数年、日本人の男性が美しく、かつ可愛らしくなってきた。
これは女子にもてようとするために見た目をさわやかに気を使っているからである。
人によっては無駄毛処理をして化粧をする人もいるという。これだけ男性の女性化が進んでいる現象は日本くらいだと言われている。
欧米では一般的には女っぽい男性よりたくましい男性が女性に好まれているというから、この点でも日本は他の国と異なっている。しかし欧米でもいわゆる美少年タイプの若者は居ることは確かであるが日本よりも少数であるといえる。

男性が美しいといえば私も今までにいくつか経験したことがある。
数年前、地元の川越高校文化祭に行って来た。この高校は映画「ウォーターボーイズ」の元になった男子シンクロが大きな目玉になっている。ちなみに20年前から行われていた。映画が公開されてから各地から本物の演技を見たさに大勢の女子高生やおばさんたちが駆けつけ、高校文化祭としては異例の3万人が期間中に訪れた時もあった。
私も実際にシンクロを拝見したが演技の迫力とともに繊細さも併せ持っていたのが印象的であった。女性のシンクロ演技には無いアクロバット的な演技も多く見ごたえがあり、祭りの余興的なおふざけ要素が少なかったのも好感が持てた。彼らは普段は水泳部員ということで、体も引き締まってそれなりに美しいスタイルであった。
体といえば概して男性のほうが女性より無駄な脂肪が少ない分ある意味美しいともいえる。これは以前東京であるショーを観覧したときにはっきりと分かった。


いわゆる男性ストリップである。海外では一般的であり、時折洋画や海外ドラマでシーンが映されることもあるので日本人でも知っている人もいるはずである。
日本では以前から一部男性を対象とした興行はあるにはあったが一般的ではなく、近年女性も観覧できる団体が発足され少しずつ知られるようになった。
知人に誘われ少し迷ったが、物珍しさと一種の社会見学だと思い行って来た。私は海外のようにマッチョな人が登場するのかとたかをくくっていたが全く違っていた。
ダンサーが皆イケメンばかりで演技も美しいのである。
当然ストリップなので服を脱いで裸になるのだが、過激なものではなく全体的にソフトなものであり(女性観覧可能ということもあったのかもしれないが)踊りもワイルドな動きがあり、一種のパフォーマンスとしても十分堪えうるショーであった。
確かに若くて美形の男性の体なら美しいと思う。極端に筋肉が発達してなく、贅肉も少なければ引き締まった体型で凛とした魅力があるのではないか。女性特有の包み込まれるような優しさとは異なる精悍さが男性にはあると思える。
あくまでも彼らはプロなので「脱いでも綺麗」だという事はわかるが、前に述べた男子シンクロでも綺麗と感じるということは欧米人よりも小柄なアジア人の体型だから得られるということもあるのではないか。

話を元に戻す。
以前もエッセーで書いたが、日本人の流行発信元は若い女性であり、彼女らの好むものが一般に好まれるため、本来の男性のあるべき姿(たくましい・力強い)を嫌う傾向になっていることもあるのではないか。だから女性に好まれるように色々時を使っている成果もあると思う。
そのことは言い換えると日本人男性が弱くなったということも挙げられる。
最近は女性の地位が向上したこともあるが、昔に比べ男性の威厳が低下したのも理由の一つだという。
ある作家は「家庭の中に小便器がなくなったことが男性の地位低下の原因だ」と述べていたが面白い発想だと感じた。確かに昔から男性の特権は『立って小便が出来る』と言われていたが、洋式便器の普及でそれすらも出来なくなったから、という持論であるらしい。それも要因としてはあると思うが、他にも身近なところでもある。
まずタバコである。昔はたいていの男性がタバコを吸っていた。一種の社会的ステータスといっても良い。それが健康上の問題や嫌煙権の関係でどんどんタバコを吸う場所や人が減ってきて、今では店内や車内禁煙は当然で、堂々とタバコが吸える場所は半分隔離されてしまったといっても過言ではない。その他男性が良くやってしまう泥酔や立ち小便や飲酒の無理強いなども社会風紀の改善や男女平等の考えから公に嫌がられる対象になってきてしまい、それがひいては男性の威厳低下になっていると考える。
それに対して女性はここ10年で地位が上昇し、今まで男性しか居なかった職種に進出するようになった。勿論『男性より女性が偉い』訳ではないのは事実だが、女性が元気ということと結婚相手を女性が決める社会となっている国だからこそ、男性は女性の求めるような言動や容姿にしないともてないし結婚できない。だから男性が美しくなる、という構図になったのだと思う。
こういった現象は少し前に起きたもので、しばらくは続くのではないか。
古きよき日本を知る中高年の人には「情けない」「寂しい」という感想を持つかもしれないがこれも時代の流れなのであろうか。